七月のサファイアを濡らしたまま十一月の
雨滴のカフェ、ちょっと饐えた
都会の中心部にロキフォニィの大きな傘も立てかけて
高雅な、…うそ、分厚いだけの真新しい手帳の
革の、…うそ、合皮のカヴァーの一か所に爪を立てて
復讐のつもり、ミネルヴァへの、
硬い濃紺の軸のペンを黒革ケースから取り出そうとして
やめて
あ、見知らぬ果実、ころころと
光から光へと辿って
遊星?、淡々と透きとおる明るさのまゝ、爆撃の遠さよ、
叫びの近さよ、まるで、
秋のさなかの野の草の軽い花びらの小皺のように
流れのほとりの流れないものたちの悲哀よ
ころころと、ろろろろと、
もう、見知った果実、ひとりには
しないよ、
遊星、はじめてのように
しかし約束のように
急速に澄み切っていくから
大丈夫だから
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