風のそよぎ
こまかく
翻りひるがえり
動きつづける葉々
八重桜はまだ逞しく花弁を保ち
初夏の到来を支えている
向こうの屋根の瓦のひとつひとつに
海のおもてのようにひかりは輝き
止めてある車のボディーにも
かたちさまざまに
たくさんの小さな太陽たち
羨ましがられもしない景のなかで
これだけゆたかな
初夏のよろこび
ほかにはなにもいらない
自分さえ
と思いながら
足もとを見ると
踏まれてもいないタンポポの
黄の花ばなの群生
あゝほんとうに
いつのまにか
すっかりじぶんはいなくなっていて
だから
これほどしあわせなのだと
留まるのも
移動するのも
自在の
全方位の
五感六感として
風にそよぎ
こまかく
翻りひるがえり
動きつづけ
屋根の瓦のひとつひとつに
海のおもてのように輝き
止めてある車のボディーにも
かたちさまざまに
たくさんの小さな太陽となるひかり
かつて自分と呼び慣わしていた
全方位の
五感六感
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