集合住宅の4階か5階の
どこか知り合いの住居の玄関前の踊り場で
あさまだき
身体を拭っておこうと
水を溜めて運び上げてきたバケツにタオルを浸し
絞ってから
上半身のあちこちと
拭い続けている
水だけでなく
うっすらシャボンもつけて
肌の表面であまり水が垂れ落ちていかないように
絞りぐあいを調節しながら
背やわき腹をなんども拭っている
ふと見ると
階下の家がドアをすこし開けていて
中から水のじゃぶじゃぶいう音が漏れてきている
家の中で身体を拭いているのか
そう思うと奇妙な仲間意識がほのかに湧き
どうせなら踊り場に出てきて
拭けばいいのにと思う
へんな話だと思われるだろうが
踊り場でこんなふうに身体を拭っているのは
目覚めまぎわの夢での話
どうしてこんなところで身体を拭いているのか
階下のドアがどうして開いているのか
そんなことはまったくわからない
夢だから…と納得する人もいるかもしれないが
夢の外でも同じこと
どうしてこんなことになっているのか
わからないことばかりが連続し続けていく
連続し続けていくから
なんとなくわかったような気になっているが
無数の起源から発生し続けてくる現象が
意識とか呼ばれるスクリーンに
際限なくでたらめに投げつけられてきている
じつはでたらめだということに気づくのが
ほんとうに大事
この世の夢も
夢の外も
でたらめなんだということが
いかに因果関係がありそうでも
いかにもっともらしくても
ぜんぶ
でたらめ
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