2014年6月5日木曜日

じつはでたらめ



集合住宅の4階か5階の
どこか知り合いの住居の玄関前の踊り場で
あさまだき
身体を拭っておこうと
水を溜めて運び上げてきたバケツにタオルを浸し
絞ってから
上半身のあちこちと
拭い続けている
水だけでなく
うっすらシャボンもつけて
肌の表面であまり水が垂れ落ちていかないように
絞りぐあいを調節しながら
背やわき腹をなんども拭っている

ふと見ると
階下の家がドアをすこし開けていて
中から水のじゃぶじゃぶいう音が漏れてきている
家の中で身体を拭いているのか
そう思うと奇妙な仲間意識がほのかに湧き
どうせなら踊り場に出てきて
拭けばいいのにと思う

へんな話だと思われるだろうが
踊り場でこんなふうに身体を拭っているのは
目覚めまぎわの夢での話
どうしてこんなところで身体を拭いているのか
階下のドアがどうして開いているのか
そんなことはまったくわからない
夢だから…と納得する人もいるかもしれないが
夢の外でも同じこと
どうしてこんなことになっているのか
わからないことばかりが連続し続けていく
連続し続けていくから
なんとなくわかったような気になっているが
無数の起源から発生し続けてくる現象が
意識とか呼ばれるスクリーンに
際限なくでたらめに投げつけられてきている

じつはでたらめだということに気づくのが
ほんとうに大事
この世の夢も
夢の外も
でたらめなんだということが
いかに因果関係がありそうでも
いかにもっともらしくても
ぜんぶ
でたらめ




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