水を飲んでも
吸収されるべきところに行かず
草となって根を伸ばす
思い出の中の教室の蓋のないロッカーに
真新しい上履きを入れて
入れたままにして
そうです!
入水してしまった夏の前の木曜日
ぼくは月の明るい夜
ひとりで教室に戻ってきて
ぽたぽた指から水滴を垂らしながら
窓のそばに立っていました
ロッカーの前にも立っていました
どうしてだろう
自分の机の前にも立っていました
同時にあちこちに立っていました
あなたの後ろにも立っていました
いまも立っているのです
あなたのわきにも
右うしろにも
寝室の壁のところにも
廊下の角にも
どこにでも
だって愛していますから
あなたを
あなただけを
吸収されるべきところに行かず
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