2015年1月3日土曜日

この世のイノチなど




モノを持ち過ぎないことしか
心と身をほんとうに守るすべは
ないかもしれない
思いさえ
気持ちさえ
モノに過ぎないのだし

いま持っているモノすべてが失われてもいいと
覚悟することしかないかもしれない
失われないすべは
ほかにはないかもしれない

ほんとうのじぶんはどれか
などと
問うことの愚かさ

これもちがう
あれもちがう
などと
わざわざ手放さなくてもよい
離れていく時には
そのまま
離れていくに任せればいい

ほかのありかたなど
ありえない

薄っぺらすぎる人たちがあんなにもしがみつく
イノチでさえ
離れていく
ほんとうのじぶんでなど
なかったから

ほんとうのじぶんでさえ
離れていく
ほんとうのじぶんでなど
なかったから
思いだったから
ことばだったから

イノチなどと呼んできたものは
根ぶかく根ぶかく
思いやことばに支配されていたむだな時間だったから

この世のイノチなど

この世のイノチなど


                                  
   

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