母は父の家を見下していたので
時々ぼくを連れて行く時には
「あの家の人たちはみんな下卑ているからね
「あんなのを真似ちゃだめよ
「ああいう人間になっちゃだめよ
バス停でバスを待つ間や
近づいて行く道々で
ぼくにこう言い聞かしたものだった
誰の言葉をも話半分に聞き
誰の教えも学ばない性質だったぼくは
こんな母の言葉を聞きながら
(いやになっちゃうな
(どうしてパパの家をこんなふうに言うのかな
と思いながら
さほど真剣にはとらえずに
しかし表向きは真剣に注意しているように母には装い
今もまったく変わらないが
その場にいる人たちのそれぞれに
徹頭徹尾いいかげんに合わせてつき合い
けっこう八方美人に
なかなか良い子を演じ続けた
話は変わるが
こんなぼくの本性を見抜いたのは
小学校の低学年の担任だった
若い女のだった先生が
こんな通信簿の言葉が残っている
「よく話を聞いて理解し
「態度がとてもよいですが
「人の気づかないところでは
「いつも大変ないたずらっ子です
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