2016年3月20日日曜日

四季



だれにも向かわないことばを求めて行くと
まるで詩のようなかたちを採って
ときには軽い足どり
ときにはよろよろした足どり
ときには引き摺るような足どりで
ことばと思いの水辺を
山の辺や鄙びた街道を
右往左往させられる市街を
行きつ戻りつ

それにも楽しさがないわけでもなく
高価でも珍しいわけでもないのに
おいしい食べ物に出会うこともあって
人に出会い続けるといっても
あちらもこちらも皆行きずりの人
その場の笑顔や歓談ばかりの
お互いすぐに消えていく動く影どうし
わびしい落ちはつけぬ倣い
孤独が売りの古臭い詩興は出さぬが粋

まるで詩のようなかたちを採っても
まるでのままで四角にも三角にもならず
からだも頭もすううと透明にさせつつ
けっして分離されない瞬間どうしを重ね重ね
ひとつの春にも無数の春を感じとって
その後に来る無限の夏ももっともっと
永遠のほうへとちょんちょんせっついて
あゝ秋秋秋秋には真新しい車で古城まで
冬をついに永遠の伴侶に迎えると告げに




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