こんな遠い海まで
どうして来てみる気になったのか
もう忘れてしまったようで
ぼうぼうと
頭の中を風が過ぎる
松林を過ぎる風は
そうそう
そうそう
時どき
ぞうぞう
ぞうぞう
頭の中を過ぎる風は
ぼうぼう
ぼうぼう
ボロ屋のような浜の小店で
どんなに拭っても
小さな砂がどこかに付いている
枯れ果てた木のテーブルに肘をついて
小ビンのビールを取り
あさりの串刺し焼なんか頼んで
ちょびちょび
さっきから飲んでいる
何ごともなかったように
真っ青に空は晴れて
とにかくもいい浜辺だ
大瓶を取り直して
もっと景気よく飲んだら
ちょっと酔い心地になるかもしれない
酔って思い描くべきことも
見るべき夢も
もうありはしないんだが
こんな海と砂浜と青空があれば
これだけで
もう
なかなかの夢見ごこち
とにかくもいい浜辺だ
真っ空に空は晴れて
何ごともなかった人生を
さらに
何ごともなく
これからも
運んでいく
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