2016年6月17日金曜日

これからも


こんな遠い海まで
どうして来てみる気になったのか
もう忘れてしまったようで
ぼうぼうと
頭の中を風が過ぎる

松林を過ぎる風は
そうそう
そうそう
時どき
ぞうぞう
ぞうぞう

頭の中を過ぎる風は
ぼうぼう
ぼうぼう

ボロ屋のような浜の小店で
どんなに拭っても
小さな砂がどこかに付いている
枯れ果てた木のテーブルに肘をついて
小ビンのビールを取り
あさりの串刺し焼なんか頼んで
ちょびちょび
さっきから飲んでいる

何ごともなかったように
真っ青に空は晴れて
とにかくもいい浜辺だ

大瓶を取り直して
もっと景気よく飲んだら
ちょっと酔い心地になるかもしれない
酔って思い描くべきことも
見るべき夢も
もうありはしないんだが
こんな海と砂浜と青空があれば
これだけで
もう
なかなかの夢見ごこち

とにかくもいい浜辺だ
真っ空に空は晴れて
何ごともなかった人生を
さらに
何ごともなく
これからも
運んでいく



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