2016年7月5日火曜日

真夏の雪



しんしんと雪の降る夏
交差点に
人影はなく
小さな足の獣のような足跡が
いくつか

降りやまぬ雪の
ひとひら
ひとひらが
信号の青や赤を邪魔し続け
まるで
そのぐあいが
べつの知らせのよう

やはり
ここでも
わたくしは立ち詰める
透いた霊
もとより誰も
通りかからないけれど
もし通りかかったとしても
たったのひとりにさえ
見えもしない
わたくし

しんしんと降り続く
真夏の雪
熱い
熱い雪が
まるで寒さのように
青々とした真実を
すっかり
透明にし
包み込んでしまっている




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