ひとりの晩
尾赤アジの見事なのが
二五〇円だったので
買ってきて
じぶんで三枚下ろしにして
刺身にして食べた
骨にはけっこう肉がこびり付いていたので
そのあたりは
内臓とあわせて
焼いて食べた
ふつうのアジより
すこし味のこっくりした
刺身と焼き物になり
旨かったけれど
かなりの量になったな
はやめに夕食にして
よかった
それにしても
頭を落とす時に
ずいぶん血が出て
それも
ヨウシュヤマゴボウの汁のような
赤葡萄酒の深みの血で
俎板もシンクも
ずいぶん血まみれになった
魚の血は脂っぽいので
ただ水で落とすだけでは
ぬるぬる感は落ちない
洗剤をつけて
あちこちを洗わねばならなかった
どれもこれも
切り分けたものを買ってきたのでは
忘れてしまうこと
思い出しさえしないこと
生き物の血は
魚一尾からさえ
こんなに出て
こんなに脂っぽいのだということ
そうして
大皿の刺身を作るのに
皮を剥ぐのにも
小骨を取るのにも
けっこう手間がかかるということ
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