2016年10月9日日曜日

尾赤アジの見事なのが二五〇円だったので



ひとりの晩
尾赤アジの見事なのが
二五〇円だったので
買ってきて
じぶんで三枚下ろしにして
刺身にして食べた

骨にはけっこう肉がこびり付いていたので
そのあたりは
内臓とあわせて
焼いて食べた

ふつうのアジより
すこし味のこっくりした
刺身と焼き物になり
旨かったけれど
かなりの量になったな
はやめに夕食にして
よかった

それにしても
頭を落とす時に
ずいぶん血が出て
それも
ヨウシュヤマゴボウの汁のような
赤葡萄酒の深みの血で
俎板もシンクも
ずいぶん血まみれになった
魚の血は脂っぽいので
ただ水で落とすだけでは
ぬるぬる感は落ちない
洗剤をつけて
あちこちを洗わねばならなかった

どれもこれも
切り分けたものを買ってきたのでは
忘れてしまうこと
思い出しさえしないこと
生き物の血は
魚一尾からさえ
こんなに出て
こんなに脂っぽいのだということ

そうして
大皿の刺身を作るのに
皮を剥ぐのにも
小骨を取るのにも
けっこう手間がかかるということ



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