詩のように見える分かち書きのかたちにするか
短歌のかたちにするか
やはり散文のかたちにするか
迷うことが多すぎて
テーマが多すぎて
書くことが多すぎて
どのかたちでも書かないで
日々
朝を迎え
夕べを迎え
暮らしていくことも
多い
いつの間にか
晩秋
初冬
何年も前
十数年も前
心に枯れた氷を抱くようにして
さまよった
古い古い都の
野良で
あの時取らないでおいた
さびしい里の
柿の一果が
ちょっと気になる
あれは
鴉が食べたか
あれと同じあたりに
今年の残り柿も
ぽつぽつ
下がっているか
人めも
草も
かれぬと思へば*
と
ふと蘇る
いにしえ人の
言の葉
あゝ、
さびしい旅へ
また
出ようか
人めも
草も
かれぬと思へば
さびしさの
中へ
さびしさの
さらに
さなかへ
*源宗于 山里は冬ぞさびしさまさりける人めも草もかれぬと思へば
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