2016年11月6日日曜日

心に枯れた氷を抱くようにして


詩のように見える分かち書きのかたちにするか
短歌のかたちにするか
やはり散文のかたちにするか

迷うことが多すぎて
テーマが多すぎて
書くことが多すぎて

どのかたちでも書かないで
日々
朝を迎え
夕べを迎え
暮らしていくことも
多い

いつの間にか
晩秋
初冬

何年も前
十数年も前
心に枯れた氷を抱くようにして
さまよった
古い古い都の
野良で
あの時取らないでおいた
さびしい里の
柿の一果が
ちょっと気になる

あれは
鴉が食べたか
あれと同じあたりに
今年の残り柿も
ぽつぽつ
下がっているか

人めも
草も
かれぬと思へば*

ふと蘇る
いにしえ人の
言の葉

あゝ、
さびしい旅へ
また
出ようか

人めも
草も
かれぬと思へば

さびしさの
中へ
さびしさの
さらに
さなかへ


*源宗于   山里は冬ぞさびしさまさりける人めも草もかれぬと思へば




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