2017年2月21日火曜日

しゃあしゃあ



いつものように
小説や物語をいっぱい抱え
現代では
詩になどは
居場所は全くない
詩にできることはもう全くないと
いつものように
思ってレジに向かうところで

BGMとして
ずっとかかっていた
中島みゆきの『空と君のあいだに』が
「空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
にさしかかったのを聴いた
ふいに
この部分
これは詩にしかできないこと
と気づき直した

「君を泣かせたあいつの正体を僕は知ってた
ならば
物語や小説ができること
物語や小説こそが得意なこと

けれども
「空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
詩にしかできないこと
たとえ
物語や小説の中に書かれていたとしても
このとらえ方は
詩…

スピーカーの下まで行って
そうして
ひさしぶりに
中島みゆきの声を聴き続けた

(それにしても
(クリアに
(よどみなく
(しゃあしゃあ歌うよなぁ
(ひとこと
(ひとこと
(自分なるものと切り離して
(どんな主語も
(すっかりフィクションなのに
(まるで自分ででもあるかのように
(自分なんていうものが
(ありでもするかのように
(歌うよなぁ
(クリアに
(よどみなく
(しゃあしゃあ
(しゃあしゃあ



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