複声レチタティーヴォの連続のみから成るカンタータ叙事詩
[1982年作]
(第十声)
しかし、おまえはなぜ行くのだ?
どうして旅など続けるのだ?
なんのための旅、なにを求めて、どこへの旅だ?
道が一本しかないと言ったな。
確かに一筋開けているばかりだが、一筋の道があるということは、 おまえ、ふたつの道はあるということだ。
ひとつはあいかわらず同じ方向へ進むものとしての道、 もう一つは、 これまで歩んできたところへもう一度戻って行くものとしての道。
戻るということは、くり返すということではない。
それは全く未知のもうひとつの道だ。
さあ、おまえはどちらを行くつもりだ?
どちらを行くこともできる。
どちらかをやめることもできる。
そして、ふたつを行くこともできなければ、 ふたつを行かないこともできない。
0 件のコメント:
コメントを投稿