秋も進んでいくのに
ふいに暑さが戻り
過ぎ去ってそう遠くもないのに
夏をぼくに思い出させる
思い出すのは今年の夏のことのはずなのに
そこに絡まり合う光景の中には
過ぎたあらゆる夏のとりどりの光景が数えきれないほどで
光景から光景へ
心を自由にさまよわせるうちには
もうぼくはどの時期のどの場所にいるのか
わからなくなってくる
酒に酔っているのでもないのに
過ぎたたくさんの光景に酔い続けて
あぶない
あぶない
ふたたび輪廻の迷路を迷って
うっかり戦乱のさなかや微生物しかいなかった時代に
転生していきそうなぐあい
秋も進んでいくのに
ふいに戻ってくる暑さに
過ぎ去ってそう遠くもない今夏を思い出させられて
過ぎたあらゆる夏のとりどりの光景の乱舞の中に投げ込まれて
ぼくはふたたび時間も場所も超えた境に来てしまっている
あぶない
あぶない
はやく冬の冷気を浴びせかけて
心の無分別な回転を遅くしないと
あぶない
あぶない
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