歳をたゞとっていくのでなく
歳のなかを
あいだを
進んでいく
あるいは
歳の外へ逸れていく
外れていく
かるく
ふかく
あわく
家は
ぺったり
つつましやかな
平屋がよくて
四方に壁はないのがよくて
まわりの庭は
草ぼうぼうがよくて
雨風は入り放題
わずかに奥の数畳ほどまでは濡れず
雨風の音を聞きながらの
寝起き
虫も蜥蜴も蛇も
鳥たちも
猫も狸もその他なんでも
自由気ままに
入ったり
出たり
いつのまにか
からだは
そこで死んでいるのがよくて
たましいは
死んでいないのがよくて
せいしんは
いよいよすこやかなのがよくて
だれかが
からだを見つけてくれる頃には
もう
骨になっているか
木乃伊になっているのがよくて
いやな気にさせては
申しわけないから
ちゃんと
貼り紙をしておこう
「見つけてくれた方
「怖がらないでください
「全霊を以て
「祝福いたします
「この先いっそうお幸せになられるよう
「あの世からお守りいたします
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