2018年9月14日金曜日

ごく普通のまっとうな状況感覚を持つ人が


 
いわゆる純文学系の小説のいやなところは
いつまでもトレードオフの観念が身につかない
パレード効率的な行動様式に乗れない
生きるのが下手な人か
まっとうな市場認識のできない愚者か
ただの落伍者かを
まるで被害者であるかのように扱ったり
主人公に見立てたりして
かれらの視点や価値観の中に数百ページのあいだ
幽閉されてしまうところ

日常の社会生活の中でなら
へんな人とか
めんどくさい人とか
過去にばかりこだわって
ぐたぐた嘆き節を垂れ続ける湿った人とか
それでいて何かというと自己賛美モードに入る人とか
いっしょにいるとこっちまで損をする人とか
即座にそう認識されて
他の人が離れていくタイプの
そんな人たちに
あまりといえばあまりに
過大にライトが当てられてしまうところ

ごく普通のまっとうな状況感覚を持つ人が
貸し付られている限られた時間・体力・知力・運命的財力を使って
運命づけられたヒトラー政権下で
あるいは安倍政権下で
どう個人を生き延びていくか
個人生活の充実をどう構成していこうとするか
そんなところを描き出す小説なら
本気になって読みたいと思うんだけどね



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