2018年9月14日金曜日

しんしん


 
…それなら、詩とはなんだろうか

と都市は思う 草のまばらな
一条ゆかりまで 戻る  二条さゆり

ホワイトコード る ずえありと ずえありと

逆と順のたゆたい ダンス

“助詞も助動詞もしだいに排除していく場だよ”
と 名詞が言い 動詞が言う 

“口調を出す単語はすべからく除くべし”
と 文法が言い 語法の抑圧にかかる

 語法、管理すべし
 慣用句、廃すべし

感情や平成末期的世間的常識に漬け込んだ思念もまた

も また 除くべし

「日本、まだ駄目。働く人、これ。(腰をかゞめて、縮こまつてみせる。)働かない人、これ。(威張つて、相手をなぐり倒す恰好。)それ、みんな駄目! ーー働く人、これ。(形相凄く立ち上がる、突つかゝつて行く恰好。相手をなぐり倒しフンづける真似。)働かない人、これ。(逃げる恰好。)日本、ーー働く人ばかり、いゝ國。ーープロレタリアの國!分る?」*

ドーコトイワホ る ずりありと ずりありと

それは変圧器 知と思念と感情と実践の
それはモニター 使用単語少なめの
それは言の寺 すなわち巷でなく 家住まいでなく
それは未知へ向けられた備忘 できうれば美貌の

しんしん と 音がするね
音が してきているね

しんしん と

まだ人間の耳を持っていなかった頃
聞いただろ、よく…

しんしん 
しんしん
しんしん
しんしん……



*小林多喜二『蟹工船』



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