2018年12月6日木曜日

急に温度がさがって上着をもう一枚かけたくなる日

 
                 ジャン・ジュネは過去主義者(パセイスト)である。
 ジャン‐ポール・サルトル『聖ジュネ』


急に温度がさがって
上着をもう一枚かけたくなる日
わたしは弱い
目のまわるほど厖大な水量の
過去という海から
急に温度がさがって
上着をもう一枚かけたくなる日日に
展開されていた
光景が
シチュエーションが
こころや思いが
夢やあこがれが
よろこびかなしみが
物語のすべてが
一気に押し寄せてくるから

過去を生きてはいけない…
過去にとらわれてはいけない…
インスタント悟り本にあるような
そんな教訓
なんの役にも立たない
わたしは過去
わたしを生きているのは過去
あらためて
そう思い出させられるから

急に温度がさがって
上着をもう一枚かけたくなる日
には



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