扉の影から
ちょろちょろ顔を出して
こちらを窺っている
あれは
さあ、誰かしら?
少年時代の家には
そんな
ふだんは見えない子が
いた
家から家
いろいろと越してきたけれど
また
最近その子が
-ほら!
部屋のドアの
影から
こちらを見ている
見ていない
とでも
思ってるのかな?
その子の
背後にまわって
ぼく
見てるんだよ
その子の後頭部も
首筋も見える
そのむこうに
ぼくの姿だって
見える
なぁんだ
つよい視線は
その子のよりも
ぼく自身の
視線だったんだ
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