小さな鮫を砂浜に見つけた五月
もっと
ずんずんと遠くまで
いそいで歩いて行くつもりだったのに
ぼくらは鮫を海に帰してやろうと
ずいぶん時間をかけて
岬の裏の浜で
ひと仕事ほどの汗を流してしまった
都会の街路樹のひとつ
桂の木が
若葉をたのしげに翻しているのを見て
どうしてだろう?
あの浜を
急に思い出したりしたのは?
もう
すっかり
影もかたちも失ったぼくらや
あの時の小鮫や
あれを引きずっていった海までの跡を
たったひとりで
ちょっと
確かめ直しに行きたいような気分に
なったのは?
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