駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2020年6月11日木曜日
もっと鮮やかな赤い傘をハダッと開く
毎日毎日
いつまでも降り続く梅雨を
子どもの頃には
経験していた
食パンにはきまって青黴が生え
部屋の白壁にも
黴が生え
それでも
雨の中で女の子が
パアッと開く
雨傘が鮮やかだったし
どこかの古刹で
女の人が
もっと鮮やかな赤い傘を
ハダッと開くのは
もっと
美しかった
こういう国に
来たんだ
と
梅雨にも
馴染んでいった
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