2020年9月9日水曜日

九月に入ってからの残暑の

 

九月に入ってからの

残暑の

日々のこの暑さを

きみは死に近い頃の床で

ずいぶん

なつかしく

思い出すことだろう

秋に入ったのに

すこし動くと汗ばむような

湿った空気を

きみは

きっと肌に蘇らせ

その頃にいっしょにいた人たちや

よく会った人たちの

顔や

しぐさを思い出し

あれらの暑さも

また

しあわせの一部だったと

思い直すだろう

生きることは

残暑の暑さのなかで

汗ばむことでも

あったかもしれないと

あれでよかったかもしれないと

すべてはよかったかもしれないと

思い直すことだろう





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