気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
九月に入ってからの
残暑の
日々のこの暑さを
きみは死に近い頃の床で
ずいぶん
なつかしく
思い出すことだろう
秋に入ったのに
すこし動くと汗ばむような
湿った空気を
きみは
きっと肌に蘇らせ
その頃にいっしょにいた人たちや
よく会った人たちの
顔や
しぐさを思い出し
あれらの暑さも
また
しあわせの一部だったと
思い直すだろう
生きることは
残暑の暑さのなかで
汗ばむことでも
あったかもしれないと
あれでよかったかもしれないと
すべてはよかったかもしれないと
思い直すことだろう
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