2021年1月11日月曜日

私の場合は10年前からひとり先に

 


亦知人生要有別

但恐歳月去飄忽

寒燈相對記疇昔

夜雨何時聴蕭瑟

蘇東坡 

辛丑一月十九日既與子由別於鄭州西門之外馬上賦詩一篇寄之

 

 


揚子江菜館では

餃子や春巻や

ユーリンチーを食べたことがあったが

池波正太郎が好んだ上海焼きそばは食べていなかったので

今回はそれを注文した

玉ねぎの炒めを麺の上に載せている

緑も赤も色を添えない皿だが

なかなか美味かった

瓶ビールを頼んだら

キリン新ラガービールを出してきて

コクがあってよかった

最近コクのある辛口ビールが減っているが

これはよかった

新と付いているが本当に新なのか

わからないが

 

帰りみち

まだ開いている古書店で

蘇東坡詩選を50円で買う

小川環樹と山本和義選訳の古い岩波文庫で

蘇東坡はいくつも詩選を持っているが

この古い岩波文庫は読んでいなかった

昭和50年の発行で

昔の版の象徴の星印の定価表示がされている

★★★★なので

200円だったか400円だった頃のもの

 

発行者は岩波雄二郎で

東京都千代田区一ツ橋二丁目五番地五号となっている

あゝ 今の私の住まいから目と鼻の先で

出版された文庫ではないか!

まったく人生はなにがどう変わるかわからない

明日明後日のことは予想もつくが

半年後や来年のことは予想がつかない時代に入った

私の場合は10年前からひとり先に

そういう時代に入っていた

 

道すがら

店々の灯で

蘇東坡を

ぱらぱら捲れば

 

また知る 人生のかならず別有るを

但だ恐る 歳月の去りて飄忽たるを

寒燈に相對せる 疇昔を記す 

夜雨 いずれの時か 蕭瑟たるを聴かん

 

  わたしとて知っている

人生に別離がつきものなのだとは

  それにしても  

歳月のあまりにはやく流れ去っていくことといったら

ちょっと恐いほどだねえ

  寒い夜にともしびに寄って語りあった昔が

思い出されてならないよ

約束したね

  また床を並べて

しめやかな雨音を聞こうじゃないか

  いつになるだろうかね

実現できるのは





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