2021年1月13日水曜日

銀河のはずれへとさようなら

 

ちあきなおみの「喝采」を

急に

聴きたく思ったのは

いつもはあのあたりにはいない

野良猫が

テング酒場のわきのビルの空調設備の裏へ

逃げ込んだのを見た

23時近くのこと

だったか

 

1972年の

14回レコード大賞受賞時の映像を

YouTubeで見てみたら

ずいぶん落ち着いて歌っている

そのことに驚く

1998年の紅白歌合戦で泣いて

ところどころ歌えなくなった安室奈美恵とは

ずいぶん違う

 

     ♪あれは三年前 

   止めるアナタ 駅に残し

    動きはじめた汽車に

    ひとり飛び乗った

 

この歌詞から突き刺さってくる映像に

どうも

その後の生きようの

ライトモチーフを

決定されたような気も

しないではない

止めるなにかをじぶんも

駅に残し

動きはじめた汽車に

ひとり

飛び乗った

ような

気も

しないではない

 

     ♪時にすばらしい

    夜もあった 笑顔もあった

    どうしようもない風に 吹かれて

    生きている今 これでもまだ

    悪くはないよね

 

という

安室奈美恵の声が

今は

重なって

よみがえってもくる

 

あゝ すばらしい流行歌の歌詞!

すばらしい通俗!

大衆の

極みの極み!

 

泣いて歌えなくなった安室を指して

ほら、泣いちゃって

歌えなくなっちゃってる…

大晦日の食事を準備していた

エレーヌに

たしか言った

東京都世田谷区代田17141階の住まいで

 

気分はきまぐれ

気分は逸れて

どこをどうさまよったか

米津玄師の「パプリカ」に飛び

Lemon」に飛び

途中にレミオロメンの「粉雪」を挟んで

「感電」に飛んだが

 

     ♪稲妻のように生きていたいだけ

    おまえはどうしたい? 返事はいらない

 

ははん……

 

「感電」は

ドナルド・トランプ向きだな

感じ

はじめて

この曲の面白みの三丁目ぐらいまで

行けた気がした

 

すると、また

急に

 

     ♪なごり雪も 降る時を知り

    ふざけすぎた 季節のあとで

 

聞こえてきて

あゝ……

と思ったが

 

「なごり雪」を

聴き直す

必要はない

 

「感電」に戻る

戻って

 

     ♪兄弟よ どうかしよう

    もう なにも考えないよう

    銀河のはずれへと さようなら

    真実も 道徳も 動作しないイカれた夜でも

    ぼくら 手を叩いて笑いあう

    だれにも 知られないまま




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