気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
大津のあたり
旅したときも
歌まくら
志賀の唐崎
くっきりと
心にきざむ
こともなく
若さにまかせ
たゞ歩き
目につく
些細な
あれこれに
興じて
つかれ
天智帝の
古京と知るは
幾とせものち
その志賀に
凍っていた水
解け切って
みなもに波を
さざ波を
吹きよせる風
春風が
吹いたぞ
吹いて
きたぞよと
大蔵卿の
匡房殿は
堀河院御時、百首歌たてまつり侍りけるに、
春立つこゝろをよめる
大江匡房
こほりゐし志賀の唐崎うちとけてさゞ波よする春風ぞふく
『詞花和歌集』巻第一 春 冒頭歌
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