気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
暗い谷
いちめんに
なおも
降り続ける雪
なんと
寒いことか
春に
入ったはずなのに
暗がりのなか
雪も
春をつげる白梅の花びらのように
舞ってもいるが
鶯は鳴かない
春が来たのだとは
この雪降りでは
わかりようもないから
春のはじめに雪の降るをよめる
源実朝
かきくらしなほ降る雪の寒ければ春とも知らぬ谷の鶯
『金槐和歌集』 春 四
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