2021年3月25日木曜日

寒くさびしい孤絶した永遠だけが

 

 

桜が満開に咲いて暖かかった昨日も

今日へとページをめくると

一転

薄暗く寒い

雨模様の一日

 

こんな日には

過ぎ去った時間のすべてや

つかのま関わりを持ってはほどけて散っていった人々が

薄暗さと寒さの皮膜の裏に

不活発に足を抱えて丸まっている

 

過ぎ失せてしまえばかつての楽しさもなんだろうか

輝きも味わいも快さもなんだろうか

あんなこともこんなこともあったとあざやかに記憶していても

火葬場の釜に入る順番を待っているだけの人体にとって

けっきょく記憶がなんだというのか

 

薄暗く寒い

雨模様の一日の今日

まるで誰かもっとも親密な人の弔いをしてきたかのように

街も建物も草木もみな幽冥のもののようにうす青い

寒くさびしい孤絶した永遠だけがひたひた寄せてきている






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