桜が満開に咲いて暖かかった昨日も
今日へとページをめくると
一転
薄暗く寒い
雨模様の一日
こんな日には
過ぎ去った時間のすべてや
つかのま関わりを持ってはほどけて散っていった人々が
薄暗さと寒さの皮膜の裏に
不活発に足を抱えて丸まっている
過ぎ失せてしまえばかつての楽しさもなんだろうか
輝きも味わいも快さもなんだろうか
あんなこともこんなこともあったとあざやかに記憶していても
火葬場の釜に入る順番を待っているだけの人体にとって
けっきょく記憶がなんだというのか
薄暗く寒い
雨模様の一日の今日
まるで誰かもっとも親密な人の弔いをしてきたかのように
街も建物も草木もみな幽冥のもののようにうす青い
寒くさびしい孤絶した永遠だけがひたひた寄せてきている
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