2021年8月4日水曜日

同飲二人


 

学生たちの小テストの添削をしていて

遅くまでかかってしまう

またまた深夜になって

生ゴミや壜や箱をまとめて出しに行く

深夜というより

あと一時間もすれば夜は明ける

Wordを開くと

「おはようございます」などと

上のほうに出ている

 

期限のとうに切れていた一保堂の煎茶を

ようやくさっき飲み終えたので

その缶もいっしょに捨ててきた

さて次の作業にかかる前にと

開けたばかりの玉露を淹れることにする

福岡県八女の星野村の星翠で

日本で今いちばん美味い茶だともいう

茶といえば紅茶ばかり飲むので

緑茶のほうはよく知らない

しかも玉露などあまり飲まない

けれども貰い物なので飲む

飲まないとまた期限切れになってしまう

 

沸かした熱いままの湯ではいけないので

5060度ぐらいになるまで冷ます

これがけっこう手持ち無沙汰で

冷蔵庫から千疋屋のゼリーを出して

プラスチック容器のまま食べはじめる

ゼリーはあまり好きではないが

このチェリーゼリーはけっこう美味い

これも貰い物でもう期限切れなのだが

誰か人にあげてもいい味だと思う

 

淹れた玉露を飲んでみると

澄んでいてとろみもちょっとあって

悪くないが少し薄かったかもしれない

これだから高級茶は面倒くさい

次にはもうちょっと量を増やせばいいが

毎回うまくいくかわからないので

なにか考えている時などは厄介でもある

 

むかしエレーヌと宇治に遊んだ時に

中村藤吉本店に気まぐれに入ってみたら

歳をとった女将さんが茶を淹れてくれた

茶ははじめからお湯で淹れてはいけない

まず水で淹れるのだと教わり

水で淹れてくれたものを飲むと美味く

次にだんだんと温度を上げて淹れてくれた

そうすると三度ほどはおいしく淹れられる

はじめからお湯でドバッと淹れるような

粗暴な淹れ方しか知らなかったので

これにはずいぶん驚き学ばせてもらった

女将さんもフランス人に教えるのは楽しく

馴染みのようにおしゃべりが続いた

 

日本でいちばん美味い茶だというのだから

福岡県八女の星野村の星翠も

はじめは水で淹れてみればよかった

次にはそのようにして淹れてみようか

巡礼では同行二人という言い方があるが

もういないエレーヌを思えば

同飲二人とでも言ったらいいか

そもそも空海好きのエレーヌでもあったし

と夏の暑いふかい夜の反省をしてみる

温度計は30度を指していて

茶のことなどを考えるには

暑すぎる時であるかもしれないが





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