2022年2月16日水曜日

これからとんでもないスゴイことに

 

 

昨日の夜おそく

いつものようにスーパーに無料の水を取りに出る時

窓さえ閉まっていれば風など入ってこないエレベーターホールで

天井のほうからスウスウと寒い風が下りてきていた

 

風が洩れてくるようなところとしては

天井には非常用の丸い小さなスピーカーしかないが

そこから洩れてきているのではないらしい

LEDの電球の球のついているもっと小さな丸いところからも

風が洩れてくるはずがないのは

見ればわかる

 

それでも天井からスウスウと風が下りてくるので

どうもヘンだな

と思いながらエレベーターに乗って

ずいぶん気温の下がっている外へ出た

 

スーパーまで歩いて行く途中

細い道をくねくね曲がりながら大通りへ抜けていくのだが

後ろの右のほうから

どうも人のしゃべっているような声がする

つぶやいているようでもあり

ささやいているようでもあるが

とにかくだれかがしゃべっている

 

しかし振りむいてもだれもいない

 

どこの道へ曲がっていっても

人のしゃべっているような声は聞こえるので

どうもヘンだな

と思いはじめた

 

どこかのなにかの音が反響して

後ろから聞こえてくるのだと言えば言えないこともないが

どこの道へ曲がっていっても同じように聞こえるのは

やっぱりヘンだと思える

 

ただこれだけのことだが

その後

何時間も経ってから

もう夜明けが近くなる頃に

またエレベーターホールまで出て行き

地下階にゴミを捨てに行った

 

エレベータホールでは

やはり

天井から冷たい風が下りてきている

 

ただそれだけのことで

べつになんも起こってはいないのだが

エレベーターに乗り込んだ時

内部の空間そのものが

なにか

生物のように感じられた

 

地下階でエレベーターを降りると

地下階のエレベータホールはいつも点灯されておらず真っ暗で

人が来るとすぐに感知されて電灯が点くのだが

それでもとりあえずは真っ暗な中へ踏み出していかないといけない

それがいつも小気味よくて

異世界に一瞬だけ踏み込むようでちょっと楽しいのだが

今回だけは

その真っ暗な異世界が

やはり

生物のように感じられた

 

なんというか

うごめきを感じるのだ

揺れや震えや

とろりとした感じや

あたたかみのようなものさえ

感じるのだ

 

なにが起こったわけでもないのだが

この時

ようやくわかった気がした

 

この数日で

世界がガラリと変わったのだ

 

これまでしゃべらなかったはずのものがしゃべり

これまで動かなかったはずのものが動くように

この数日で

ガラリと変わった

 

これから

とんでもないスゴイことに

なるよ






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