2022年2月20日日曜日

動詞を使う時はいちいち主語を明示しろよな!


 

ウクライナのことで

戦争が始まりそうだとかなんだとか

ちょうどいいネタなので国際マスコミが煽っているが

小競りあいはちょこちょこ起こっても

戦争というものは「起こる」とか「始まる」ものでなく

大勢の人間が非常な労力をかけて「起こす」とか「始める」たぐいの

巨大過ぎるほどの生産ラインなので

何年もかけてさまざま分野で戦争「工場」の設備を整え

分野相互の調整をたくみに綿密にやりながら

「稼働」させないといけない事業というべきなのだとは

別宮暖朗氏の『誰が大平洋戦争を始めたのか』*

かつて学んだ

 

戦争はいわゆる「大義名分」などなくとも開始できるが、「動員」「集中」「開進」「作戦」という兵力の運用がなければ、開始できない。それには膨大なペーパー・ワークを伴う「戦争計画」が必要である。

 

わたしが日ごろ親しんでいるのはフランス革命戦争とか

ナポレオン戦争のたぐいなので

戦争については日常のテーマとして頭をめぐり続けているのだが

この「膨大なペーパー・ワークを伴う」というところは

どんな戦争論からもこれほど単刀直入に教えられたことはなかった

当たり前といえば当たり前のことなのだが

ふつうのお役所仕事や学者の紙媒体での資料集めどころではない

細かい上に複雑この上なく

たえず変更に次ぐ変更が続く(そうしないと戦争には負ける)

「膨大なペーパー・ワークを伴う」ところが近代戦の特徴のひとつだと

やっぱり言葉ではっきり示されないといけなかったのは

ちょっと恥ずかしく思う

 

そもそもわたしはロシアが好きだし

近未来ではロシアと中国に思考のベースを移そうと思っているくらいだし

現代のリーダーとしてはプーチンと習近平が大好きなので

日本に流れ込むアメリカ経由のニュースが

しかも大がかりなインチキ選挙でバイデンをサル山に上らせた

あの醜い民主党経由のニュースが

いちいちあらゆる細部にわたってムカついてたまらない

 (ついでだがおめでとう! 

 (中東で戦争を煽りまくったCNNの完全凋落!

ウクライナのことだって

例えば映画『バトルフィールド クルーティの戦い』(2019)を見ておけば

おいおい、そう簡単に気分的に介入すんじゃないよと

わけもわからずNATO派に属そうとするバカに言ってやりたくなるが

そんな程度のものも見ておかずにNATOしちゃうのが

まさにバカのバカたるゆえんなのだから

しょうがないといえばしょうがない

 

そんなことを思いながら

たとえばこんな日本語記事を見てみると

偏向思考がどうこういう以前に

やっぱり日本語にこびりついた文体が

バカをいっそうバカにさせているんじゃないだろうかと

日本語のダメさを思ったりもする

事実と記事執筆者の勝手な推測や思い込みがごちゃまぜで

これはもちろんどんな言語でも可能だが

ことに日本語の場合はヘンテコな文体美学があるので

事実に近いことを伝えようとする時には

もうどうしようもない屋台村のインチキ焼きそばみたいになってしまう

 


 

一線越えれば「全面戦争」 ロシア演習、米欧に警告

時事通信  202202192035

 

 ロシアは軍最高司令官のプーチン大統領の指揮下、核弾頭を搭載可能なミサイルの演習に動いた。北大西洋条約機構(NATO)不拡大を含むロシアの提案をめぐり、米欧との交渉が進む中で出されたメッセージは、ウクライナのNATO加盟というレッドライン(一線)を踏み越えれば全面戦争も辞さないという警告だ。

 

◇くさび打ち込む

ロシアが昨年12月に示した提案には欧州でのミサイル配備制限も盛り込まれ、   米欧もこれに応じる方向。ロシアはさらなる譲歩を引き出したいところだ。
 NATOに比べ通常戦力で劣るロシアにとって、核戦力は安全保障の要。大量破壊兵器で攻撃された場合だけでなく、通常兵器で国家の存立が脅かされた場合も核兵器を「先行使用」できるとの基本方針を堅持する。
 ロシアは昨年来、10万人以上の軍部隊を国境付近に集結させ、勢力圏と位置付けるウクライナがNATOに傾斜しないよう威圧。ミサイル演習は緊張を極限まで高めるものだ。ロシアは自国の核兵器使用基準が低いことを示してNATOを萎縮させ、ウクライナへの軍事支援を踏みとどまらせて「将来の加盟国候補」との間にくさびを打ち込む狙いとみられる。


  ◇奪還論けん制

ウクライナには、ロシアに「奪われた」南部クリミア半島と東部ドンバス地方を力づくで取り戻すべきだという強硬論も一部にある。プーチン氏は7日、NATO加盟でこうした意見が勢いづけば「勝者のいない」核戦争になると強くけん制した。
 ウクライナと同国東部の親ロシア派は、互いに相手側から「砲撃」を受けたと非難しており、約8年間続く紛争の激化も懸念されている。東部の停戦などを定めた「ミンスク合意」は、ロシアに有利な内容。プーチン氏としては、ウクライナに米欧からの孤立感を味わわせた上で軍事力を誇示し、合意を順守するしかないとウクライナに迫る意図もありそうだ。

 


お笑いとしてはいいかもしれないが

あるべきジャーナリズムの初歩もクリアできてない駄文であろう

思い切ってこのくらい素直にぶちまけてみろよ

と思ってしまう

 


 《軍最高司令官のプーチン大統領の指揮で、ロシアは、核弾頭を搭載可能なミサイルの演習をした。

北大西洋条約機構(NATO)不拡大などをロシアは提案している。

米欧とロシアの交渉が続けられている。

ロシアが出したメッセージは、ウクライナのNATO加盟というレッドライン(一線)が踏み越えられれば、全面戦争も辞さないという警告なのかもしれない、と時事通信は想像を逞しくしてしまったりもしてみる

 ◇くさびを打ち込む
 ロシアが昨年12月に示した提案には、欧州でのミサイル配備制限も盛り込まれている。

米欧もこれには応じる方向だ。ロシアはさらなる譲歩を引き出したいと考えている、と時事通信は思ってみたりもしてしまう
 NATOに比べ通常戦力で劣るロシアにとって、核戦力は安全保障の要だ、
と時事通信は思ってみている

大量破壊兵器で攻撃された場合だけでなく、通常兵器で国家の存立が脅かされた場合でも、核兵器を「先行使用」できるとの基本方針を堅持している、と時事通信は推測してみている。
 ロシアは昨年来、10万人以上の軍部隊を国境付近に集結させた。

自国にとっての勢力圏だと位置付けているウクライナが、NATOに傾斜してしまわないように威圧をかけている、と時事通信は思ってみたりしている

ミサイル演習は緊張を極限まで高めるものだ、と時事通信は思っている

ロシアは自国の核兵器使用基準が低いことを示してNATOを萎縮させ、ウクライナへのNATOの軍事支援を踏みとどまらせて、NATOにとっての「将来の加盟国候補」とNATO自身の間にくさびを打ち込む狙いがある、と時事通信は思ってみている
 ◇奪還論けん制
 ウクライナ国内には、ロシアに「奪われた」南部クリミア半島と東部ドンバス地方を力づくで取り戻すべきだという強硬論も一部にある。

プーチン氏は7日、NATO加盟をめぐって、こうした意見がウクライナ国内で勢いづくようなことがあれば、「勝者のいない」核戦争になる、と強くけん制した。
 ウクライナと同国東部の親ロシア派は、互いに相手側から「砲撃」を受けたと非難しており、約8年間続く紛争の激化も懸念されている、
と時事通信は情報を得たが、誰が「懸念」しているのかは明示しないでおく、だって、ぼくらマスコミだもんね

東部の停戦などを定めた「ミンスク合意」は、ロシアに有利な内容だ、と時事通信は判断している

プーチン氏としては、ウクライナに、米欧からの孤立感を味わわせた上で軍事力を誇示し、合意を順守し続けるしかない、とウクライナに迫る意図もありそうなんじゃないかな、と時事通信は言っておくことにする。》

 



記事を支える地の文の主語を

まったく明瞭に出さないように腐心するというのがマスコミ文で

それはもちろんお役所文も同じことだが

こういう文の書き手や出版者には

いちいちの文の主語の明確化を迫れば

たいていの文章は崩れ去るしくみになっている

「みている」「懸念される」「みられる」についていちいち

はいはい、誰が「みている」の?

誰が「懸念している」の?

「みられる」なんて書くのはだァれ?

 

もちろん時事通信がどう思ってみてもいいし

想像を逞しくしちゃったり

なんやかや言ってみたっていいのだが

(言語配列における自由というのはかくも絶対的なものである!)

しかし動詞を使う時はいちいち主語を明示しろよな!

なんである

谷崎潤一郎とか丸谷才一の『文章読本』が教えるような

日本語を書く時にはとにかく主語を省け!

ってのは

ダメだからな、出来事伝達文の場合は!

 

 

 

*別宮暖朗『誰が大平洋戦争を始めたのか』(ちくま文庫、2008)





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