2022年4月20日水曜日

だんだんと口は裂けてくる


 

ギリシア神話では

アイギナ島の住民が疫病で全滅したとき

ゼウスは蟻をその住民に変えたという

さよなら 遺伝子と電子工学だけを残したままの

人間の世紀末

田村隆一 『蟻』

 

 


 

ウクライナのマリウポリに

ロシアが

巨大な移動式パン焼き機を持ち込んで

パンを焼いてウクライナ住民に配っているのだが

それをNHKは

大量の火葬車とか

移動式焼却車とか呼んでいたという

 

麻薬常習者のゼレこと

ゼレンスキーが言うのならまだわかるが

天下のNHKが

毎日毎日

こうした大本営発表の偏向報道を続けていると聞くと

やはり

さびしくなる

朝日新聞と同じく

NHkはむかしからああだったよ

特に戦時中など

ひどいものだった

そういえば

戦時中だものね

いま

いつのまにか

と知ってはいても

さびしくなる

 

ごくごく単純なことを言うのでさえ

いろいろなことを準備的に言い並べていかないといけないので

めんどうでしょうがない

どうしてアメリカやヨーロッパのユダヤ資本メデイアによる報道ばかり

平然と流し続けるのか

などとあらためて言うのさえ

めんどうでしょうがない

どうして中国やロシアや中東などの報道を同じ分量で流さないのか

などという情報利用の基本の基本について

あらためて言うのさえ

めんどうでしょうがない

 

フセインやカダフィを一方的に悪者よばわりし

平然とミサイルを撃ち込み続け

あれらの国々に侵攻した連中の言い分ばかり伝え続ける

どこよりも古いはずの神国の姿勢が

不愉快で不愉快でたまらず

うっかり三島由紀夫先生を呼び出したくなってしまいもするが

そんなことをいちいち言語化しつつアタマの中で回らすのも

めんどうでしょうがない

 

情報の集めかた

ものを考える時の当然の所作

情勢分析の基本の基本

イデオロギーや認知戦への警戒やかわし方

 

そういったものの

当たり前の基礎があちらこちらで無視され

拒否され

隠蔽され

否定までされて

専門家たちまでが注意喚起しないことに

驚く

驚く

驚かされる

驚かされ過ぎる

 

大学の授業だというのに

小学校や中学校の基礎を教え直さないといけないかのようで

めんどうでしょうがない

 

そんな

あってはいけないことが

あちこちで

平然とまかり通り過ぎている

 

まるで

わたしがバイトで教えている大学のうちの

どうしようもないバカ大学で

以前あった

こんなことみたいで

 

フランス語の二年次を教えていて

すでに学んだ会話テキストを

確認で学生に読ませたら

途中でつまづいて読めない

どうしたの?

どこでひっかかったの?

と聞くと

文字がわからないと言う

どの文字?

と聞くと

これです

Pが逆になったような

この字

彼はqを指さした

 

そこの大学では

ここが

教師側の芸の見せどころである

怒ってはいけない

驚いたそぶりを見せてもいけない

なめらかに心を運び

スムーズに

「ほら、中学で習ったでしょう?」

「忘れちゃった?」

「ま、人間は忘れるものだからなあ」

やさしく

ユーモアさえ漂わせて

微笑みを浮かべながら

言ってやらないといけない

けっして

真実を口走ったりしてはいけないのだ

「おまえ、バカか?」

「舐めてんのか?」

など

口が裂けても言ってはいけない

 

地引き網なのである

底引き網なのである

そこの大学は

箸にも棒にも引っかからないような

どこの大学にも行けないような

雑魚中の雑魚を

ごっそりとかき集めて

学士さまのレッテルを貼ってやる場所なので

qを知らないぐらいで

教員が驚いてはいけないのだ

怒ってはいけないのだ

 

やさしくやさしくやさしくね

なのだ

華原朋美なのだ

 

とはいっても

だんだんと

口は裂けてくるものでして

 

口には口の忍耐の限界というものがあるのだろう

 

だんだんと

口は裂けてくる

 

裂けて

くる

ものでして

 

むかし流行った口裂け女

お化けだか

妖怪だか

わからないけれど

あの存在の気持ちが

いまは

だんだん

わかってきている

 

だんだんと

口は裂けてくる

 

 



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