2022年6月26日日曜日

六月はただただ素晴らしかった



 

雨がちの日が続くようでいて

それほどは降らず

かといって

曇りがちでスカッとはせず

梅雨らしいといえば

梅雨らしい六月のことしだったが

 

これほど六月がいいものに思えたのは

生涯でもはじめてだった

 

特にかわったことがあったわけでもなく

毎日毎日

くもり空のあのあたりの

暗さと薄暗さとのグラデーションはいい

とか

ジメジメしているようで

微妙に肌寒かったりするのがいい

とか

花の終わった栗の木がすぐに実を付けはじめ

まみどりのまだやわらかいイガがじつはずいぶん美しい

とか

そんな小さな楽しみが

あちこちに見つかっただけのこと

 

なにが起こったわけでもなく

なにが起こらなかったわけでもなく

六月はただただ素晴らしかった

あちこちに見えるアジサイが

これほど美しく思えたことはなかった





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