雨がちの日が続くようでいて
それほどは降らず
かといって
曇りがちでスカッとはせず
梅雨らしいといえば
梅雨らしい六月のことしだったが
これほど六月がいいものに思えたのは
生涯でもはじめてだった
特にかわったことがあったわけでもなく
毎日毎日
くもり空のあのあたりの
暗さと薄暗さとのグラデーションはいい
とか
ジメジメしているようで
微妙に肌寒かったりするのがいい
とか
花の終わった栗の木がすぐに実を付けはじめ
まみどりのまだやわらかいイガがじつはずいぶん美しい
とか
そんな小さな楽しみが
あちこちに見つかっただけのこと
なにが起こったわけでもなく
なにが起こらなかったわけでもなく
六月はただただ素晴らしかった
あちこちに見えるアジサイが
これほど美しく思えたことはなかった
0 件のコメント:
コメントを投稿