2022年6月8日水曜日

どれほどわたしが

 

 

どれほどわたしが

「哀愁」を

ふかく愛していることか

「憎悪」が

「悲嘆」に洩らした時

 

「冷酷」は

暑い南の孤島の

白砂や

澄んだ青い水を

夢見るように想っていた

 

また

ことわりもなく

自分の名を使われたことに

いささか

不愉快な気持ちになりながらも

「愛」は

太古より

肌身離さず伴ってきた妃

「残虐」のからだを

心持ちつよく抱きよせ

しかし

ここぞと絡みついてこようとする

「執着」や「貪欲」は

たくみに払い避けつつ

とうの昔に逝った

幼なじみの「純真」を

うっすらと思い出しながら

長い夜の闇に

溶け込んでいこうとしていた

 

すこし離れた窓のカーテンの蔭では

「悔恨」と「悦楽」が

もちろん

「愛」から隠れて

抱擁を続けていた

 





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