2023年1月10日火曜日

すこしのんびりと風邪をひいたり


 


年末年始ともなれば

さすがに

ちょっとは時間もできたので

すこしのんびりと

風邪をひいたりしていた

 

うすい痰が出続け

気管はそれを排出しようとするので

咳が出続けた

 

とはいえ

ちょっとは時間もできた

年末年始なればこそ

いそいで治そうともせずに

ゆったり

のんびり

風邪をひき続けていた

 

パブロンだの

ベンザブロックだの

ルルだの

風邪薬のたぐいなどは

飲みはしない

買いにも行かない

なにせ

熱さえ出ないのだ

 

いくらか

だるかったり

眠かったりはするが

ちょっとは時間もできた

年末年始なればこそ

真っ昼間だって

いざとなれば

寝直してしまうのである

日が暮れてから

目覚め直して

顔を洗い直して

夜景を見たりするなんぞ

なんだか

豪華で

贅沢な人生

って

感じでもある

 

どこで引いた風邪か

だいたいは

わかってもいる

8度か9度ぐらいの

寒いド田舎を

シャツと夏物ジャケットの上に

ライナーを外した半コートを引っかけただけで

50分ぐらい歩いた時に

やられちまったに

決まっている

 

真冬でも

電車に乗るような時は

ぶくぶくの厚着になるのを嫌って

薄く着るようにしているが

あそこのド田舎は

さすがに

都心とは違って

ちょっと寒すぎたのだ

 

それに

痰が出るのだって

考えてみれば

ごくあたりまえの

道理だと思う

 

毎日起きて

朝の陽光の射す

机の上や

周囲を見まわすと

どんな時でも

うっすら白く

埃が溜まっている

衣類から出る綿埃が主だと思うが

カーテンからも

壁紙からも

きっと

いろいろと出続けているだろう

とにかく

埃というやつだけは

後から

後から

絶望的に出続けてきやがる

これを平気で吸い込んでいるのだから

風邪なんか引くと

気道は敏感になって

そりゃあ

ゴホゴホしたくなる

というものだ

 

とはいうものの

せっかく

のんびりと

風邪をひいたりしていたのに

年末年始も

過ぎ去っていくとなれば

これまた

律儀なもので

小心なもので

なさけないもので

からだというやつは

ちゃあんと

風邪を脱ぎ捨てていきはじめる

 

真っ昼間に

寝直したりなんぞできない

多忙な日々に

また

手足をとられてしまう頃になると

ろくに挨拶もせずに

痰も消えていくし

咳も引っ込んでいってしまう

 

 




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