気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
桜の花は
青く晴れた満開の頃あいのみに
愛でるべきものかは。
いな。
そうでもなくて
小雨がちの
夜の入りなどにも
あかりを受けたりしていれば
趣の勝る
ものにして。
あかりのない
暗がりの
夜もさらに更けて
いっそう暗いあたりに
白いのか
うす桃いろなのか
もう色もさだかならぬさまとなって
わたしひとり
桜とだけ
色もかたちも失いあって
雨降り続く
闇の一部となって
しばらく
音もなく
息も抑えて
ともにあり続けるこそ
かぎりもなく
あわれなれ
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