歩けば
6分や7分ほどで
後楽園のTOKYO DOME CITYに着く
アトラクション
と今日日は呼ばれる
いろいろな乗り物や遊具にはまったく興味はないけれども
そこそこ便利な売店がいっぱい集まっているので
いつのまにか
けっこうな頻度で買い物に行くようになった
ユニクロも無印良品もカルディもダイソーも成城石井も
けっこう高いがそれでも安いものもある魚屋も
TOKYO DOME CITYにはある
白山通りを渡れば
むこうにはドン・キホーテがある
これらが10分圏内にある
というのは
けっこう強みだ
買い物の必要が特になくても
ドン・キホーテなど見てまわっていると
あれやこれや
なんとなく買っておこうかな
などと思う
カルディでも
こまごまと並ぶエスニックフードのあれこれを見ていると
アジアの未知の食材を試してみようかな
などとカゴに入れはじめる
どれもこれもあれもそれも
なくてもいっこうかまわないものだが
なくてもいいものを試してみるのは楽しいし
なくてもいいものを買ってみるのは楽しい
読む必要のないモンテーニュを広げてみたり
復習する必要のない微分積分の本を買ってみたり
生きる必要のない昭和平成令和の日本に
物見遊山のつもりでだらだらと滞留し続けてみたり
そもそものはじまりから言って価値も意義もない
太陽系や銀河系や存在界なるものの内部体験を
物好きにも馬鹿まる出しにやってみているように
買っていって試してみるのは楽しい
ふと気がつけば
いつのまにかクリスマスの飾りつけでいっぱいで
どこの店内もTOKYO DOME CITYのあちこちも
電飾だの照明だの赤白の葉や紙でいっぱい
アトラクションからは楽しげなオルゴール音が鳴り
通路や階段からもなんやかや音楽が鳴って
虚栄と虚飾そのものであってもなんだか楽しげで
ふと思い出してしまう永井陽子のあの短歌
夜は夜のあかりにまわるティーカップティーカップまわれまわるさ
ああ
ふり返ってみれば
日本中からばかりか
いまや世界中から観光に来るポイントの
間近に住んで
季節季節のにぎわいを
そのままじぶんの風景として
ドン・キホーテだのカルディだので
まだ味わったことのない珍味を物色していたりする
なんと軽佻浮薄なしあわせ
なんと現代日本
なんとバビロン
なんとソドム
なんとゴモラ
中原中也ふうに言えば
ただもうラアラア唱ってゆくのだ
ただもうラアラア唱ってゆくのだ*
*中原中也「都会の夏の夜」(詩集「山羊の歌」所収)
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