大きな地震のあとで
行方不明になったひとたちというのは
倒れた家屋の下敷きになってしまっているか
崩れた土や瓦礫の中に飲み込まれてしまっているのだろうか
地震が起きて一週間も経てば
人間のふつうの体では
なかなか
生きのびてはおれないと
やはり
考えるべきものなのだろうか
雨が降り
しとしとと降り
ざあざあとも降って
降った雨が
土や物のあいだにしみ込んで行って
行方不明のひとたちの肌を濡らしていったのだろうか
雪が降り
雨と違って雪は
すぐにはしみ込んで行かずとも
寒さは瓦礫や倒壊家屋の建材や家具の隙間を容易にすり抜けて
行方不明のひとたちの肌を冷やすのだろうか
雪を降らせる寒さや
雪そのものの冷たさも
土の中までは
すぐには沁み込むことができないだろうから
行方不明のひとたちの肌が
さらに冷えて凍えていくのは
少しは
遅れるのだろうか
行方不明のひとたちの息をとめた土は
雪の降り積もる寒い夜には
かれらの肌に
物質化したやさしさのようになって接し直したりも
するように
なるのだろうか
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