2024年1月7日日曜日

物質化したやさしさのようになって

 

 

 

大きな地震のあとで

行方不明になったひとたちというのは

倒れた家屋の下敷きになってしまっているか

崩れた土や瓦礫の中に飲み込まれてしまっているのだろうか

 

地震が起きて一週間も経てば

人間のふつうの体では

なかなか

生きのびてはおれないと

やはり

考えるべきものなのだろうか

 

雨が降り

しとしとと降り

ざあざあとも降って

降った雨が

土や物のあいだにしみ込んで行って

行方不明のひとたちの肌を濡らしていったのだろうか

 

雪が降り

雨と違って雪は

すぐにはしみ込んで行かずとも

寒さは瓦礫や倒壊家屋の建材や家具の隙間を容易にすり抜けて

行方不明のひとたちの肌を冷やすのだろうか

 

雪を降らせる寒さや

雪そのものの冷たさも

土の中までは

すぐには沁み込むことができないだろうから

行方不明のひとたちの肌が

さらに冷えて凍えていくのは

少しは

遅れるのだろうか

 

行方不明のひとたちの息をとめた土は

雪の降り積もる寒い夜には

かれらの肌に

物質化したやさしさのようになって接し直したりも

するように

なるのだろうか






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