大納言源定房に仕えていた小藤太という侍は
そこに仕えていた女房と一緒になり
娘も生まれて
大納言家の事務を取り仕切って
なかなか羽振りがよかった
娘も女房として
大納言家に仕えるようになったが
この娘に会おうと
忍んでくる良家の息子ができた
ある宵も忍んでやってきたが
暁に雨が降りはじめて
帰るに帰れなくなり
しかたなく小藤太の娘の部屋で寝ていた
娘のほうは
女房としての仕事があって
大納言家のなかで働いていた
娘は働いているし
朝からの雨降りで帰れないしで
会いに来ていた聟殿は退屈していることだろう
小藤太はそう考え
酒や肴を持って
奥のほうから部屋に入った
聟殿はてっきり
主人への勤めが済んで
娘が部屋に帰ってきたのだろうと思い
ちょいと卑猥なおどかし方をしてやろうと
夜着を頭にかぶり
下半身の一物をにょっこり出して
むくむくとおっ立て
腹をそり上げて
おどかした
義父の小藤太はびっくりして
肴も落とし
酒もまき散らして
あおむけにひっくり返って
頭を打って気絶してしまった
これも
『宇治拾遺物語』にあり
第十四の「小藤太聟ニオトせレタル事」
という話
一物を出す場面は
「衣をば顔にかづきながら
あの物をかき出だして
腹をそらして
けしけしとおどしければ」
と原文にはある
「けしけし」は
勢いよく勃起するさまを言う
中世の言葉だが
なんとか
現代にも復活させたいものでは
ないか
けしけし
けしけし
0 件のコメント:
コメントを投稿