2024年1月4日木曜日

けしけし

 

 

大納言源定房に仕えていた小藤太という侍は

そこに仕えていた女房と一緒になり

娘も生まれて

大納言家の事務を取り仕切って

なかなか羽振りがよかった

 

娘も女房として

大納言家に仕えるようになったが

この娘に会おうと

忍んでくる良家の息子ができた

 

ある宵も忍んでやってきたが

暁に雨が降りはじめて

帰るに帰れなくなり

しかたなく小藤太の娘の部屋で寝ていた

娘のほうは

女房としての仕事があって

大納言家のなかで働いていた

 

娘は働いているし

朝からの雨降りで帰れないしで

会いに来ていた聟殿は退屈していることだろう

小藤太はそう考え

酒や肴を持って

奥のほうから部屋に入った

 

聟殿はてっきり

主人への勤めが済んで

娘が部屋に帰ってきたのだろうと思い

ちょいと卑猥なおどかし方をしてやろうと

夜着を頭にかぶり

下半身の一物をにょっこり出して

むくむくとおっ立て

腹をそり上げて

おどかした

 

義父の小藤太はびっくりして

肴も落とし

酒もまき散らして

あおむけにひっくり返って

頭を打って気絶してしまった

 

これも

『宇治拾遺物語』にあり

第十四の「小藤太聟ニオトせレタル事」

という話

 

一物を出す場面は

「衣をば顔にかづきながら

あの物をかき出だして

腹をそらして

けしけしとおどしければ」

と原文にはある

 

「けしけし」は

勢いよく勃起するさまを言う

中世の言葉だが

なんとか

現代にも復活させたいものでは

ないか

 

けしけし

 

けしけし

 

 




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