2024年11月4日月曜日

現象の賜物


 

 

起こることは

すべて

よいことである

 

起こるべくして起こったのであり

現象の賜物

 

ひとつの現象の発生は

数えきれない

要因の束が絡まりあって

有機的に

合目的に

顕現するものと決まっている

 

たとえば

貴重なガラス工芸品が

不注意とも言えぬ微細な不注意から

破損したとする

 

その工芸品を守り

維持すべきという観点からは

これは事故であり

災いであり

損失であろう

 

しかし

注意に注意を重ねて

万全の保護を敷いていたというのに

それでも

破損してしまったところには

その工芸品の運命が働いており

起こるべきことが起こったのであり

貴重な工芸品という人造物を維持すべき

という観点が盲目にしてしまう

より高位の意志の侵入がそこに発生している

 

そもそも

ひとつの工芸品の製作は

複数の自然物の破壊や

非自然化から

為されるしかないものだろう

それをよいものとみなし

創造とみなすのは

人間たちだけであろうし

それも

そこに居合わせる人間たちだけだろう

 

貴重な工芸品を例にしたのでは

わかりづらいかもしれないが

大量に人間を殺すための殲滅収容所のような

創作物を例にとれば

わかりやすくなる部分があるだろう

殲滅収容所の誕生は

殺戮者たちにとっては賜物であり

この上なく有益で貴重な装置であった

これが放棄され破壊された時は

殺戮者たちの持つ観点も意図も価値観も超えた

より高位の意志の侵入が起こった時だった

 

運命

という呼び慣わされた言葉で

呼んでみてもいいのかもしれないが

より高位のこの意志の内部に深入りして

さらに内観を進めていけば

殲滅収容所を誕生させる諸要因の束の解読も

もちろん可能になっていくだろう

 

起こること

起こったこと

起こっていくであろうことの

すべての要因の束への

内観を

同志諸君よ!

真の意味での唯一の「友」よ!

さらに進めていこう





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