2024年11月4日月曜日

所作の秘密


 

 

生活の中で必要とされる事のあれこれを

はじめ

向きあい

行い

済ましていく

 

よけいに疲れないように

整ったかたちで

事が出来上がっていくようにするには

やや形式ばっているようでも

それなりの段取りに従い

急がずに行っていくのがよい

 

たとえば

洗濯して乾かしたタオルを仕舞う

その際

他人に見えぬ

自分の家の中のことだから

だいたいのたたみ方をして片づけていってもよい

しかし

四辺をなるたけきれいに揃えて

少しでもちゃんとした正方形や長方形になるよう

畳んでいくほうが

作業から来る疲れが不思議と少ない

 

万事が万事このようで

食器を片づけるにも

ちょっとでもきれいに揃えて

棚に仕舞っていくようにしたほうが

体も気持ちも疲れない

 

若くもなくなってからのある時

このことに気づき出して

必要事や雑事や些事をするのに

ちょっと多めに時間がかかってでも

ていねいに

それなりの段取りに従って

行っていくようにしてからは

面白いもので

家事のどれもが

面倒でも苦痛でもなくなった

 

とりあえずの呼称として

自分ではこれを

所作の秘密

段取りを愚直に尊ぶことの益

などと呼んでみているが

これは確かに存在する

 

古来伝わる

さまざまな芸事や習い事の世界の

あの多くのしきたりや

段取りや

所作における形式などは

部外者から見ればいたずらに煩雑で

形式を捏造するための無用の装飾に見えることもあるが

実践者たちにとっては

為すべきことを

正確に

疲れ少なく

失敗を極力排除して進めていくための

最良の行程に違いない





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