森のはずれ
悲惨はたくみに隠匿され
ぬくもりさえある
手ざわりの木製の皿に
幸福な家族でもいるかのように
よそられる
卵料理
すべて
自分の心から来る
とは嘘
やわらかに
あるいは不可視に
奴隷制を支える者たちの
つねに鼓舞する口調
目をしたがって逸らせいつも
影に角や尻尾を
見てとれるように
いつまでも
森の中にいるわけにもいかない
木々さえない
岩の高みに
青い花をやはり
探さねばならないから
対岸の見えない
大河に立たねばならないから
死んだ者たちが
ようやく心の奥に静まった頃
感情の衣を一糸纏わず
かたわらに立つ死者たち
すでに生者より近く
アルファであり
オメガ
動きはもう手放されてよい
閉じず
隠遁せず
籠もらずに
われわれは常緑する
ついに
高低もなく
大気へ
ほぐれていく
また
凝っていく
霧靄の秘術を
わがものとして
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