2012年8月19日日曜日

われわれは常緑する ついに



森のはずれ
悲惨はたくみに隠匿され
ぬくもりさえある
手ざわりの木製の皿に
幸福な家族でもいるかのように
よそられる
卵料理

すべて
自分の心から来る
とは嘘
やわらかに
あるいは不可視に
奴隷制を支える者たちの
つねに鼓舞する口調
目をしたがって逸らせいつも
影に角や尻尾を
見てとれるように

いつまでも
森の中にいるわけにもいかない
木々さえない
岩の高みに
青い花をやはり
探さねばならないから
対岸の見えない
大河に立たねばならないから

死んだ者たちが
ようやく心の奥に静まった頃
感情の衣を一糸纏わず
かたわらに立つ死者たち
すでに生者より近く
アルファであり
オメガ
動きはもう手放されてよい
閉じず
隠遁せず
籠もらずに
われわれは常緑する
ついに
高低もなく
大気へ
ほぐれていく
また
凝っていく
霧靄の秘術を
わがものとして



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