外国のある映画を見ていた
地方の殺人事件を扱っていて
捜査する刑事たちが主役である
格好いい刑事たちではないし
捜査で訪れる場所も美しくない
コンクリートはシミや苔だらけで
住人たちや刑事たちの服装も
安売りの雑貨店か古着屋で
見つかりそうなものばかり
遺留品やメモや資料など
つねづね刑事たちが扱う品物も
面白みは全くなく
それらが目の前にあったとしても
あえて手にとろうという気も
だれにも起こりそうにはない
そういう物を見つめたり
整理し直したり
また取り出してみつめたりと
風采の上がらない地方刑事たちは
忙しく暗くつまらなそうに
働き続ける
映画の趣旨でもテーマでもないが
ふと気づかされたのは
これこそ人間の生ということ
創造とかなにか意味ありげなことのように
ヒト科の誰もが言いたがり
誰もがチープに囃し立てたがる
この地上でのヒト科の活動というのは
なにかと神という名で呼ばれがちな
大犯罪者の大昔の壮大なやらかしの跡を
アリのようにダニのように這いずりまわって
いったい何が行われたのだったか
壮大な茶番の意図はなんだったのかと
たびたびあまりに誤った道に踏み込みながら
ろくな成果も理解も納得もないままに
捜査し続けていくだけということ
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