2021年2月4日木曜日

捜査

 

外国のある映画を見ていた

地方の殺人事件を扱っていて

捜査する刑事たちが主役である

格好いい刑事たちではないし

捜査で訪れる場所も美しくない

コンクリートはシミや苔だらけで

住人たちや刑事たちの服装も

安売りの雑貨店か古着屋で

見つかりそうなものばかり

 

遺留品やメモや資料など

つねづね刑事たちが扱う品物も

面白みは全くなく

それらが目の前にあったとしても

あえて手にとろうという気も

だれにも起こりそうにはない

そういう物を見つめたり

整理し直したり

また取り出してみつめたりと

風采の上がらない地方刑事たちは

忙しく暗くつまらなそうに

働き続ける

 

映画の趣旨でもテーマでもないが

ふと気づかされたのは

これこそ人間の生ということ

創造とかなにか意味ありげなことのように

ヒト科の誰もが言いたがり

誰もがチープに囃し立てたがる

この地上でのヒト科の活動というのは

なにかと神という名で呼ばれがちな

大犯罪者の大昔の壮大なやらかしの跡を

アリのようにダニのように這いずりまわって

いったい何が行われたのだったか

壮大な茶番の意図はなんだったのかと

たびたびあまりに誤った道に踏み込みながら

ろくな成果も理解も納得もないままに

捜査し続けていくだけということ



 


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