2022年4月4日月曜日

雨に濡れた桜の幹の膚

 

 

まだ花は残っているものの

だいぶ桜も散るようになった夜に雨となって

外に出たついで

何本か大きな桜のあるところに佇み

上から水の染み流れてくる幹を見ていた

 

街灯のあかりを受けて

じっとりとした幹の膚の質感が貴重なものとして見え

美しいというのとは違うものの

少しでも長く見つめていたいと思った

 

夜の桜木の

それも雨に濡れた幹の膚を

感嘆しながら

こんなふうに見つめるのははじめてで

ただこれだけのことでも

新たな経験を加えることのできた

よい春となった

 




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